2004年10月12日

井戸掘ってブラジル

ブラジル。サッカーとサンバ、そして日本から遠い所として有名である。まさに日本の裏側。時差がちょうど12時間なので時計を調節する必要がないのはありがたい。しかし、、、やはり遠い。飛行機で成田〜ブラジルの玄関口となるサンパウロまで 24 時間以上かかる。そこからさらにサンパウロから他の所に行ったりするのだからたまったもんじゃない。日本から井戸を掘って地球を貫通した方が絶対速い!と何度思ったことだろう。そしたら、井戸にとび降りるだけでブラジル到着♪

そんな遠い国にも日本人のコミュニティーがある。1908 年に 791 人の日本人がブラジルに移住した。現在では、その子孫は 130 万人を数える。サンパウロには東洋人街(特に日本人街)があり、うどん屋定食屋が普通に軒を連ねている。うどん屋の中でボサノバギターの引き語りがあったりしてちょっと違うがな。「●×県人会」などの看板も多く、日本関係者の結びつきは日本国内より強いと思われる。日本の生活用品等はだいたいそろうらしい。

海外で機能している日本人コミュニティーはロサンゼルスとサンパウロだけと言われる。こことロス (Little Tokyo という)の違いは、ロスには絶えず新しい日本人が大挙して訪れたり住んだりするが、サンパウロの日本関係者のほどんどは入植した日本人の子孫である点だろう。現在では、2世や3世がメインであり、日本語を操る人は多いものの彼らの母国語はポルトガル語である。すると、地元の文化と混ざってレストランのメニューに怪しい項目を見かける。

  • Yakishoba:発音がかわいい。同僚が注文しで自爆。どんぶりで出てくる時点で間違っている!

  • Moyashi Itami:傷んででまずそう。しかし、実は牛肉と絡めた炒めもので、味付けもナイス。

  • 天プラらーめん:日本語としてはあってるが、そんな食べ物日本にない!麺がインスタントラーメン風で、すでによろしくない。エビなど海産物はおいしいのだが。。

  • ゲリンピース:うっ。

  • Misoshiro:白ミソを使ってるわけでは特にない。

  • 五目野菜の煮き:中華料理屋にて。トマトが入ってる。。。

日本人の子孫の名前も、和風を目指しつつ微妙に日本語の名前になってないのがたくさんある。個人のプライバシーがあるので具体的には挙げないが。。。

いずれも、 VOW 上位入賞は間違いない。

ブラジルは、かなり進んだ国だ。2ヶ月前に行ったインドと比べてしまうせいもあるが、ブラジルは格段進んでる。

道に穴が多い、公共交通がやや少ない、スラムが街のどこかにある、ガードマンの数が多い、物価は日本の半分くらい、などの点はあるが、ヨーロッパでもそういう国はたくさんある。むしろ、地方都市まで含めて、街には携帯電話、ファーストフード、スーパー、高層ビル街、高級ブティック、地下鉄、清潔な車、と日本と大差ない。地方都市は日本より活気があるという意味でプラスだし、技術的に日本より進んでいるシステムもたくさん導入されている。たとえば、バーコード。レストランや空港の入場などはバーコードで一括管理されていてスムーズだ。ホテルへのコンピューターの導入もおそらく日本以上に進んでいる。そして、首都ブラジリアは計画都市。日本の大江戸大迷路とは雲泥の差の秩序。また、物理や数学の研究レベルは高い。だからこそ、わざわざブラジルまで学会にやってくるわけだ。

しかし、やはりここはラテンなアメリカ。それを象徴するかのようにご飯は遅い。夜は8時でも早すぎるくらい。9時10時に食べるのが普通。もっとも、全てが遅く、物事は待たせがち、待ちがち。そして、大音量でテレビや会話を楽しむ人が多い。選挙は面白い。訪れたときはたまたま選挙シーズンだった。投票が義務のせいもあるが、市民もかなり選挙活動する。ある候補はサンバで、ある候補はボサノバのリズムで行進する。行列の先頭が候補ではなく、ダンサーだったりする。行進といっても、日本のように難しい公約をたれながら練り歩きはしない。踊りと鳴りもので、じゃらんじゃらん。カーニバルそのものじゃ。

ところで、街を歩いていると服飾、靴、音楽の3種類の店がやたら目につく。日本で普通に見か ける洒落たファッション系の店構えを想像してほしい。そう、ブラジルは何気に(?)ファッションの国。服のセンスはかなりハイレベル。しかも、美男美女をたくさん輩出する国だ。その中でも美女の産地として名声高き街に一週間いたのだが、地元の男子は「ここに生まれてよかった」としみじみ述懐していた。

食べ物は種類も味も豊富だ。まず、フルーツがたくさんある。フルーツジュースもカシューナッツのジュース、グアバのジュース、アボガド(に砂糖を入れたと思われる)ジュース、ココナツにそのまま穴をあけたジュースなど日本では見かけないものもたくさん。肉と魚も種類が豊か。亜熱帯の自然を擁するがゆえだろうか。特に、おいしい魚と肉が両方捕れる国は珍しいと思う。他にも、豆料理、キャッサバ系ポテトのスナック、フルーツの甘煮デザート、チーズのもちもちしたスナックなど。

ブラジルの締めは多様性。色んな人種がいる。ヨーロッパから移住した白人やその子孫が数的には多い。だだ、奴隷だった黒人の子孫、混血、日本人、中国人、他のラテンアメリカ諸国からの移住者などたくさんいる。多様性と言うと「人種のるつぼ」アメリカ合衆国があるが、ブラジル人に言わせるとブラジルの方が真の混合だそうな。確かに、アメリカでは、各人種はかなり固まって住む傾向がある。お互いを認めてはいるが、そんなにものすごい速度で混ざらない。ブラジルは、そういうことはない。もちろんアジア人が局在する東洋人街もあったりするが、ブラジル文化を通じて色々な人たちが比較的溶けあっている。まあ、大雑把に言えば アメリカ、ブラジル、インド、どれも世界の中で「るつぼ」の部類に入ろう。こういう国の常なんだろうか、よそ者には優しく、旅行者としては嬉しい。