2006年7月16日

ニューヨークって実は

今後は難しくなるかもしれない長期海外。それも、世界の中心、ニューヨーク。満喫しない手はない。

ニューヨークは3回目。前の2回は数日間の観光訪問だった。2ヶ月もいると、「訪問」より「滞在」、さらには「居住」に近くなってくる。もっとも、カリフォルニア州サンディエゴに1年住んだので、新発見は少なかろう、と思ってた。しかし、西海岸と東海岸の違いか? 色々な発見があった。

発見は、金欠から来た所が大きい。予算の懐事情でホテルに住めない (そんな身分じゃないとも言う) ので、短期アパートに住む。洗濯も掃除も炊事も自分で。マンハッタンは、島全体の家賃が麻布並に高い。よって、地理もよくわからぬまま、日本からネットでクイーンズのアパートを契約する。マンハッタンまで地下鉄で15分。悪くない。

大きな荷物を持ってクイーンズへ。

古い...

電車の高架から見下ろす風景からして汚い。延々と連らなったレンガ風アパートの多くは、50年以上昔かあるようだ。小さい商店、レストラン、スーパーがごちゃごちゃと、至る所に存在する。逆に言うと、大型店はもっと郊外の車社会に行かないとない。小型トラックのようなアイスクリーム屋が、かわいい音楽を慣らしながら、毎日決まった時間に同じ場所を通る。人々がアパートから湧き出してきて、アイスを求める。有人無人の洗濯屋が徒歩1分ごとにあり、人々は大きな洗濯袋を持ってのんびり歩く。人々はアパートのドアの前に座って長いeveningをぺちゃくちゃ話して過ごす。近くで子どもたちがボール遊びや縄飛びをしてる。子どもの割合が非常に多い。

時間がとまっているかのよう。

なぜだ?なぜだ?

理由はすぐに判明。

住みわけしてるのです。道端からは、英語を凌ぐ割合でスペイン語が聞こえる。他にも、イスラム、インド、中華、韓国など色々いる。彼らの多くは移民であり、ニューヨークは移民の労働力がないと成りたたない、と言われている。彼らの中にはビジネスなどでがっぽり稼ぐ職の人もいるが、多くは、いわゆる単純労働力を提供している。人に言わせると、マンハッタンに住む感じの人達とクイーンズな人達、ブルックリンな人達、ブロンクスな人達、と自然と住みわけがなされている。一種の貧富の差の現れである。例えば、ブロンクスは黒人が多いことで有名。

クイーンズにも色々あるが、私が住んでた所は、明らかに労働者な地域。今まで階級について考えたことがなかった。サンディエゴに住んでたときは、大学の敷地内に住み、大学の人間関係がほとんどだった。いわば、みな知識階級だったわけだ。そもそも、階級って差別っぽくて好きじゃない。しかし、、、階級社会を受け入れることは、住み心地と関係ある。

我がアパートの入口では、老若男女の住民が毎日のように座りこんで、夜半までおしゃべりしてる。我が部屋は1階。うちの棟がハズレだったというのもあるが、うるさすぎ...多くの人は、酔ってないのに必要以上に声が大きく、常に叫んでる。住民同士が声を荒げてケンカっぽい。ただ、本気では怒ってないと思う。親たちの会話はさすがに適当な時刻に終わるが、若者は終わらない。バーなりドライブなりに繰り出せよ、と思うが、なぜかしない。酒がなくても延々と続く。うちの前に限らず、一帯がざわざわしてる。話し声、叫び声、携帯電話、サイレン、音の巨大なエアコン、ドリルの音、水を流す音 (巨大)...人々は滅多に文句をいわない。気にならないのか〜。もっとも、他の住民が夜中に注意してたが、彼らは相手にしない。価値観がとても違う。治安はいい地域んだけどね。

自分が仕事やプライベートで接するアメリカ人は、他人がどう感じるか、どう困るかそれなりに考えるので、とても違う。また、家族や恋人なら別だが、近所の人と毎日長時間のおしゃべりはしない。時間について、もう少し厳格である。

こういう不便を避けたいなら、マンハッタンのしかるべき地域に住みなさい、ということになるのだろう。もっとも、若造なので辛抱。慣れると喧騒の中でも寝れるようになる。文句を言っても始まらない。タフガイにならなきゃ、ね。

貧富や階級の差が、一番印象に残ったこと。コジキとかの話ではなく、ちゃんと給料もらって生活してる人達の間にも大差があるのです。貧富差は、食べ物にも見てとれる。野菜は高い。ハンバーガーや菓子パンは安い。よって、貧乏だと太る。オーガニック食材の店とかは、特にマンハッタンには多くある。おいしそうなサラダカップで公園でランチしてる人がいる。しかし、サラダ+飲み物だけで千円に届く。そういうサラダを食べてる人は、大抵太っていない。彼らがマンハッタンに住んでる保証はないが、このような生活がマンハッタン系の一例か。日本でも貧富の差が徐々に拡大している。住みわけ、食べわけが日本にも到来するのだろうか?

さて、職場の大学はマンハッタンにある。

しっかし、マンハッタンも汚い。おしゃれな SOHO でも、道路のコンクリは剥れ、隆起して、ネズミの死骸とかが平気で転がっている。下水が少ないので、雨が触ると、大きな水たまりがたくさん。食べ物もアメリカン・フードといえば、ホットドッグやハンバーガー等「がざつ、汚い」。このような所からどうして芸術が生まれてくるのか不思議でならない。国際性の力か?雑踏にヒントが隠れてるのか?住んでたサンディエゴも、ニューヨークから近いボストン、ワシントンDC、ボルチモアなども行ったことがあるが、もっときれいだぞ。ちなみに、ニューヨークの大学はきれいだった。オフィスビルも大概そう。ここにも貧富の差。

地下鉄もすばらしく汚い。車体はぼろく、揺れる。雨が触ると、地下なのに水浸しになり、雨漏りを喰らう。日本はなんてクリーンなのだろう。綺麗さにあまりこだわらない俺が言うのだから間違いない。

しかし、ニューヨークの地下鉄は効率的だ。地上から階段下りると、すぐホームという駅が多い。乗り替えも正面の電車に飛び乗るだけ。無駄なアナウンスもなく、いちいち他の接続電車を待ったりしない。しかも24時間営業。雑で速い。日本はアナウンスなり、丁寧さや過剰なサービスに金とマンパワーを割いてる。国民性かな。ちなみに、ニューヨークが日本より損してる事は、ガードマン。治安維持のために、マンハッタンの各マンション、大学、会社、色々なビルの入口にはたいていガードマンがいて、あわせたらすごい人口だ。

ニューヨークはやはり魅力的☆

東京同様何でもある。買い物、ビジネス、学問、映画、舞台、絵、音楽、ハイテク...しかも、国際性は東京を遥かにしのぐ。各国の食べ物・趣味・情報を集めるには最適。

そして、ニューヨークは空いている。アメリカ最大の都市といっても人口の意味では大したことない。レストランは、何やかんやいって入れるし、電車も大混雑はしてない。イベントの座席予約もしやすい。マンハッタンでも、昼間に閑散としてる場面はよくある。セントラル・パークは限りなくでかいし、マンハッタンから川を渡ってクイーンズやブルックリンに入ると、すぐに大きな空き地 (荒地) がある。東京の中野や荻窪くらいの位置に巨大な更地を探すのは厳しい。日本の混み具合ほどではないのだ。本当に人がごちゃごちゃしてるのは観光地たる Times Square 周辺くらいかな。

アメリカ人やヨーロッパ人は狭い狭い言うが、日本人の基準で言うと、ニューヨークは、都市と空間を兼ね備えた住みやすさがある。日本を含め各国のものも揃うところは、さすが世界の中心である。その魅力を2ヶ月の滞在だけからは伝え切れないが、一言。「汚くてすごい街」。