2003年11月24日

隣国発見

以前、あるドイツ人に

「ドイツに一番似てる国はどこか?」

と聞いたら、彼は

「オーストリアかスイス」

と返ってきた。オーストリアとスイスは世界に数少ないドイツ語の国だ。

「日本に一番似てる国は?」

と聞かれて迷わず

「韓国」

と返す。もちろん韓国はハングル語の国だ。

「中国ではないのか?」

とつっこまれる。

上海訪問や中国人の友達(少ない..)、知人からのイメージとして

「文字は似てるし共通点も多いけど、政治体制が違う影響で人の考え方もかなり違う気がする」

と答えた。でもホントウ?そんな折、仕事で韓国行きゲット!

いざ韓国へ...やっぱ日本と似ている。

街。建物の並び方が似ている。看板や店の大きさも。宣伝のパターンも。モールのつくりも。デパートに至っては、1階が化粧品、2階からレディースが始まって地下が食糧品売り場、しかも「北海道フェア」なんてやるとこまで(北海道だったのは偶然だけど)似ている。似てると、違和感や驚きがないので見落しがちだけど、他国と比べるといかに似てるかわかる。レディースは、デパートの中にたくさんのブランド店があるよりは、独立したこぎれいなブティックでしか売ってない国は多い。コンビニは、途上国では高級っぽくなってしまう。ヨーロッパでは街並にもマッチしていないし、雑誌は雑誌スタンド、コーヒーはコーヒー屋で買うのがお約束(?)だ。でも、韓国のコンビニは使われ方も商品のレパートリーも配列も日本と限りなく近い。おにぎりまである。でも中身は焼肉系と辛味の赤が多いじょ。

人。おじぎのタイミングや使い方は日本人とほぼ同じ。悪く言えば、見知らぬ人の厚意には目をそらしてしかお礼できないのは日本と韓国の共通点だ。じゃあ内輪重視なのも同じかな。とにかく、日本人的にはあうんの呼吸が通じやすい。

テレビ。番組構成が似てる。キャスターがでてきて街めぐり番組をしたり、素人のど自慢番組があって鐘の鳴り方で合格か不合格か決めたり(日本のあれです!)。音楽でも、年配には演歌系、若者にはポップ系が人気。

温泉。湯加減から入り方まで日本と同じ。温泉やサウナそのものは色んな国にあるが、ヨーロッパでは水温35度、水深は微妙に深く、水着着用。俺にはプールにしか思えない。裸でしっぽり湯につかると猥褻物陳列罪なくせに、サウナには男女まぜこぜですっ裸で入る。韓国ではそんな心配はいらない。韓国の温泉は日本人の期待に答えてくれる。

結婚式。縦書き(これはポイント高い)で短冊に新郎何々家、新婦何々家ご成婚、と書いてある。ギャラリーに行くとトロフィーに「第×回○○コンクール優勝」みたいに書いたピンクのリボンがつるしてある。日本のトロフィーや優勝旗みたい。

韓国でたちふるまうのが「楽」なのは、こういう相似点のおかげだろう。気づいてないことしばしばで、裏を返せば、いちいち考える必要があまりない。国民性や文化の相似といえばそれまでだけど、大戦時の日本の侵略は関係ある。あと、戦後は日韓ともアメリカプランで作られたこともポイントっぽい。また、韓国は日本を真似ることが多いという。この辺は文化摩擦につながりかねないし、俺にはどっちがどっちを真似してるのでも構わないけど、お互い意識してることは確かだよね。

ただ、違いもたくさんある。まず、言葉。これだけ国の様子が似てると、看板の意味が全くわからなかったり、ハングル語の「ありがとう」すら知らなかったりするのが不思議だし歯がゆい。もっとも、似てる言葉もかなりある。高速道路は「こうそくどうろ」、みたいな発音だ。デパートのロゴに Shinsegae と書いてあって、後で調べてみたら「新世界デパート」だった。また、全てのことはハングルで表記できるが、フォーマルさを出したり強調したりするために漢字を使う。実は、前に出てきた結婚式場の短冊は「新郎」「新婦」など漢字で書いてあった。トロフィーの「第×回○○コンクール優勝」も漢字だった。したがって完全にわかる。基本漢字は中学、高校で習うとのこと。基本といっても教養のある人なら日本の小学校で習う 1000 語くらいはカバーしてるように見える。

食べ物の違いは言うまでもない。キムチに代表されるように辛い。もっとも、辛くないきむちがあって、白菜の漬物そのものなんだけどこれもうまい。他にも、ちぢみ、カルビなど辛くないのもたくさんあるので、俺のようにお子ちゃま舌な人でも十分楽しめる。

物価は安い。日本の 7 割くらい。ただ、物価が安いからサービスや物が劣るわけでは必ずしもない。例えば、タクシーやバスは日本の半額以下だが、質は日本と変わらない。交通は手段であって目的ではないので、運転手さんたちの給料の話を除けば、高ければ高いほど社会の損失だ。

色んな意味でお隣さんの韓国なのに、交流は少ないなと感じる。似てるから好奇心の対象になりにくいのかもしれないけど、交通の壁は大きく感じる。みんながどう思ってるのかは知らんが、俺は飛行機の旅が嫌いだ。待ってばかりだし、狭くてうるさくて混んでる空港や機内で時間も体力も使うのは苦痛だ。成田からしてアホ遠い。今住んでる横浜からソウル市内まで結局 8 時間。もし、空港まで 1 時間、国内便みたいに 30 分レベルで搭乗、すぱっと離陸すれば 4, 5 時間で行けて新幹線で地方に行くくらいの気軽さになる。ソウル〜東京シャトル便計画もあるらしいが。

ぶつぶつ書いたけど近いことにはかわりない。時差もないし。よい旅でした!