2015年8月9日

お金があれば

日本のみならずイギリスでも、研究者への道はお金に興味がない人が行く、という暗黙の了解を感じる。
しかし、最近お金に興味が出てきた。
お金がかかるからである。何が悪い!

「お金で幸せは買えない」と言う。
しかし、「お金で幸せを買える」と感じる状況が多過ぎる。
そのほとんどは、3人の子どもを2人で育てていることに起因する。

  • 家族が年に1回日本に帰るのはとても良いことだが、航空券代が高い。
  • お金があれば、一番下の子どもを保育園に預けることができて、私と妻のストレスが激減する(たぶん)。
  • お金があれば、車を買うなりもう少し頻繁に借りるなどして遠出をすれば、皆ハッピーである。
  • イギリスは高校までは教育費を気にする必要がなさそうだ(裏をとってないが)。しかし、大学に行く子のほとんどが自宅から遠い大学に入って一人暮らしをする、という理由もあって、大学はかなり高いようだ。

などなど。おっと、理由をイギリス色を入れて並べたところで仕方がない。日本が経済大国でなくなりつつある現在(イギリスも経済大国ではない)、どの家だってお金があるに越したことはなかろう。

そこで、多少の兼業を模索し始めることにした。

東大の教員だった頃、世間の目をはばらかずに行える兼業は出版のみであるように思っていた。出版は私もしていたので、兼業(と呼ぶかどうかは別として)が初めてというわけではない。一方、他の種類の兼業については、大学の業務があるわけなので、規定は概して厳しいと感じていた。

イギリスにも兼業規定はあるが、日本のようにがんじがらめではない。なので(もちろん規定に触らない範囲で)兼業を模索してみよう! もちろん、研究・教育が主で、かつ、家族を犠牲にせずにできる範囲内で。「高収入だが夜も帰れない」的になっては本末転倒だ。また、やりたくないことまではやらない。

そして、兼業の目的はお金のみにあらず。自分の分野柄、新しい人と人とのつながりが新たな研究を生むことは大いに期待できる。イギリスの研究世界は、日本よりも強く企業との連携をプッシュし、企業も日本よりはかなり乗り気であることが多い、という現実もある。そもそも、最近、私の研究は、数学・物理学的理論だけをやっていた2007年頃までと異なり、社会や生物のデータを扱う方向に変化している。自分だけでなく、私の研究分野のトレンド自体がそうである。そのせいか、兼業のことはさて置いても、大学業界の中だけにいると発想が限定される、とさえ感じる。これは、去年イギリスに来てから起こった価値観の変化である。「ネットワーク科学」は本当に世の中の何に役立つんだろう? これは、一部では良い答が出ているが、自分ももっと本気で考えて行かなければならんのです。

自分に何ができるか、何がユニークか。今までの実績も含めて、以下整理してみます。

  • 本の出版。私の主専門である「ネットワーク」についての新書が3冊、専門書が2冊。他のテーマもある程度書けると思う。
  • 記事の執筆やインタビュー記事、対談など。過去のリストはこちら。街中で売っている雑誌、オンライン媒体、ラジオなど。ほとんど全てが「ネットワーク」についての記事。媒体によっては無料で引き受けさせて頂くこともある(楽しい、あるいは宣伝になるのでよい)。
  • 研究者関係以外に向けての講演。
  • 「ネットワーク」に関する調査(私がデータを集めるという意味ではなく、データ解析手法や国内・海外事例の説明など)、データ解析(ソーシャル・ネットワークなど)の相談など。顧客名が挙げられないのでリストにはしていませんが、今までに有償で数件。
  • 「ネットワーク」以外の私の専門で、自分の強みがユニークに生かされるテーマについて、上記と同様の仕事。「べき則」、「格差」、「協力」など。
  • イギリスの生活、教育、大学の様子などについて書いたりしゃべったりすること。現在はブログで書いている。
  • イギリスや日本における子育てについて書いたりしゃべったりすること。やはり、ブログに書いている。

自分のセールス・ポイント(あえて書きます)

  • 分かりやすく書くこと、しゃべること、は理系の人にしてはかなり得意(過去の新書やメディア記事ブログなどを参照)。
  • 経歴が分かりやすい(東大卒、元東大教員、あえて辞めてイギリスの大学に就職)。
  • 「ネットワーク」の専門家として通じていること。

まずは、ブログをもう少し頻繁に(しかし、楽しんで書く範囲で)書こうと思います。
本投稿のシェア、賛成・反対意見等、大歓迎です(私個人にメッセージして頂いても構いません)。また、この投稿の内容は、色々な方の意見を吸収してから、分かりやすい形にしてホームページや Facebook に載せる予定。